手の局所性ジストニアで古くから知られているのが、字を書く時だけに手がひきつれる書痙です。特定の動作で発症するジストニアを動作特異性ジストニアと呼び、書痙だけでなく演奏時にのみ発症する音楽家のジストニアや、美容師がハサミを使うときのみに症状が出る職業性のジストニアがあります。

書痙の症状は筆圧が高い筆記用具(ボールペンが代表的)の使用や、細かい字の筆記で顕著となることが報告されています。また深夜に症状が軽くなることがあります。

書字以外の動作では発症しないことが特徴ですが、稀に箸の使用時等に発症することがあります。

治療として薬物治療、リハビリテーション、心理療法等が試みられてきましたが、有効な治療法は確立されていません。最近ではボツリヌス注射が注目されていますが、これは保険適応外のため自費診療になります。

リハビリテーションでは書痙の症状の特徴に応じた書字訓練が行われることが多く、この場合は可能な限り症状が発現し難い条件を作ることが必要です。その条件とは筆圧が低く、筆記具が太くて、書く字が大きいことであり、筆記具の持ち方を変えたり、立位で書いてみると症状が軽減することもあります。

太くした筆記用具での書痙のリハビリテーション